インターネットを利用していて、調べものをする時に多くの人が利用している検索エンジン。当サイトでも過去に中国の検索エンジンについて解説しましたが、今回この記事ではロシアの検索エンジンYandex(ヤンデックス)の危険性について解説していきます。
Yandex(ヤンデックス)に危険性はある?
ロシアの検索エンジンとしてロシア語圏においてはGoogleと並ぶ評価を得ているYandex。一部日本語にも対応しており、日本でも使用可能ですが、危険性のある検索エンジンと言われています。ここではYandex(ヤンデックス)の危険性について紹介します。
ロシア政府によるプライバシー侵害の懸念
Yandexは、ロシアを拠点としている企業です。過去には政府から情報提供を求められ、情報開示要請が行われたことが報じられています。2022年のウクライナ侵攻以降、ロシアは国際的な信用が低下しており、今後も検索者のプライバシー侵害が行われる可能性があると言われています。
開発したスマホ用SDKがデータをロシアに送信しているという報道も
2022年3月、Yandexが作成したSDK(アプリ開発用キット)がスマートフォンからユーザーデータなどを取得してロシアに送信していることを海外メディアのFinancial Timesが報道しました。
SDKは「AppMetrica」という名前で、スマートフォン向けのゲームやメッセージアプリなど多くのアプリに使用されており「このSDKを使用したアプリのダウンロード数は全世界で数億回」と言われています。
この件に関してYandexは「他社のツールと同じように動作し、収集したデータは理論的に個人の特定は可能だが当社には難しくてできない」と説明しています。
違法性のある画像が表示される可能性も
Yandexでは画像検索機能の精度が非常に優秀と言われています。類似画像の抽出能力と顔認識の精度においてはGoogleなどの大手検索エンジンよりも優れているそうです。しかし、ややフィルタリングが甘い部分があり、違法性のある画像や不適切な画像も表示される可能性が高いと言われています。
また、個人の顔写真から本人のSNSアカウントや住所などが特定されることがあるそうです。過去にYandexで画像検索した人が、自分の写真が勝手に掲示板に載せられていたという報告もありました。
Yandex(ヤンデックス)を使用する際の注意点
検索エンジンYandexを少しでも安全に利用するために、使用時の注意点を紹介します。
VPNを使用して接続する
プライバシーの侵害によっては利用者の様々なデータが盗まれる可能性が懸念されているYandex。IPアドレスから住所が特定される可能性もあるため、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用して直接サーバーに接続しないようにしましょう。VPNを使用することで実際に使用しているIPアドレスではなくなるため、インターネット上での匿名性が高まります。
アカウント登録しない
Yandexでは、メールや地図検索など様々なサービスを提供。アカウントを作成することで利用できます。アカウント作成時に住所など個人情報の入力はありませんが、SMS認証で電話番号の入力があるので心配な人はアカウント登録しないほうが良いでしょう。
また、メールもYandexのサーバーに保存されるので注意が必要です。例えばYandexのメールアドレスを利用して、何らかのサービスアカウントを登録した際、登録確認メールに記載された個人情報が盗まれる可能性も考えられます。登録時はYandex以外のメールを利用したほうが良いでしょう。
むやみにリンクをクリックしない
Yandexを利用していて表示される広告リンクやWebサイトに掲載されているリンクはクリックしないほうが良いでしょう。「フィッシングサイトへの誘導」や「マルウェアへの感染」が起きる可能性があります。特に「ロシア語で書かれている広告」や「個人サイトに掲載されているリンク」には注意が必要です。危険なURLかを判定できる「リンクチェッカー」などを事前に利用して、問題ないことを確認してからリンク先に行くことをオススメします。
GPS機能を利用しない
GPSを利用することで現在利用している場所が特定される可能性があります。地図検索サービスなどでGPS機能は利用しないほうが良いでしょう。
また、GPSの位置情報データがブラウザのクッキーに保存されている可能性もあります。Yandexを利用する前に端末のGPS機能を起動していた場合は、事前にブラウザのキャッシュやクッキーの履歴データを削除することをオススメします。
シークレットモードを利用する
Chromeなど、ブラウザに搭載されている機能「シークレットモード」を使用することで閲覧履歴やクッキー、サイトデータなどが自動的に削除され、デバイスに履歴データが保存なくなります。
最近の広告は、クッキーや閲覧履歴のデータを取得してユーザーに合致した広告を表示します。ロシアの広告がブラウザに保存されたデータを取得している可能性も考えられるため、シークレットモードを使用して履歴データを残さないようにしましょう。
Yandex(ヤンデックス)とは
Yandexとは、ロシアの検索エンジンです。1997年に創業者のアルカディ・ヴォロズとイリヤ・セガロビッチ2人のプログラマーによって立ち上げられ、現在はNASDAQに株式を上場している企業でもあります。
Yandexは、フリーメールやオンラインストレージ、地図検索機能など様々なサービスを提供。ロシアのインターネット検索市場で50%以上のシェアを持つ最大手で「ロシアのGoogle」とも言われています。
経歴
Yandexの経歴は以下の通りです。
- 1997年:プログラマーのアルカディ・ヴォロズとイリヤ・セガロビッチが運営する企業「コンプテック・インターナショナル」社によってヤンデックス検索システムが立ち上がる。
- 2000年:ヤンデックス社として登記される。
- 2008年:アメリカのシリコンバレーに子会社を設立。
- 2012年:ヤンデックス検索システムが検索件数で世界4位に統計される。
- 2018年:ヤンデックスフォンを販売し、スマートフォン市場へ参入する。
まとめ
今回は、検索エンジンYandex(ヤンデックス)の危険性について解説しました。ロシアを拠点としていることから、何かと危険性が懸念されているYandex。実際に危険な目にあったという声は見当たらなかったものの、水面下で何が起きているのか不明なので、用心しておいて損は無いでしょう。情勢が落ち着くまではYandexを使用するのは避けたほうが良いかもしれません。