チャット形式で質問や指示すると自然な文章で返答してくれる対話型AIのChatGPT。無料のため、一度は利用してみた人も多いのではないでしょうか。今回この記事では、ChatGPTの製造会社OpenAIが新たに開発したAI搭載ブラウザChatGPT Atlasとは何かについて解説していきます。
ChatGPT Atlasとは
ChatGPT Atlasとは、OpenAIが開発したAI搭載のウェブブラウザです。2025年10月に発表され、従来のブラウザではChatGPTを拡張機能として追加しなくてはいけないが、ChatGPT Atlasでは最初から搭載しています。
AI機能はいつでも使用可能で、閲覧中のウェブページからAIが情報収集し、質問にすぐ対応可能です。ChatGPTをよく利用する人は、わざわざChatGPTを開いた後にコピー&ペーストするという手間が無くなるため快適に利用できるでしょう。
機能
ChatGPT Atlasに搭載されている機能について紹介します。
サイドバーからいつでもChatGPTが利用可能
サイドバーを開いてChatGPTを気軽に利用できます。この機能を利用することで、ChatGPTが閲覧中のウェブページを読み込むことが可能です。タブを切り替えることなく、記事の要約や商品の比較などが気軽に行えます。
記憶機能
ChatGPTに閲覧していたサイトを記憶させることが可能です。例えばChatGPTに「先週閲覧していた○○情報のウェブページをもう一度表示して」などと指示すると、自動的に過去に開いていたウェブページをタブに表示できます。
一度中断した作業を復元できるので、仕事や勉強での情報収集を再継続する時に役立ちます。
エージェント機能
ChatGPTエージェントがサイトと対話し、代わりにアクションを実行する機能です。ショッピングサイトのリサーチや旅行予約の処理などを最初から最後まで自動的に行えます。
確認ダイアログへの対応や間違えた際のキャンセルなどをするために、エージェント機能の動作を画面で見守ることをおすすめします。
利用するには有料プランに加入している必要があります。2025年12月時点では、プレビュー(試作)版となっているため、複雑な作業で動作が止まる可能性があるので注意しましょう。
対応デバイス
2025年12月現在、ChatGPT Atlasに対応しているデバイスはmacOSのみとなっています。Windowsやスマートフォンは「近日対応予定」と発表しているため、現在開発中というのがわかります。
macOS以外のユーザーは、今後の発表を待ちましょう。
料金
ChatGPT Atlasは、無料で利用できますが一部機能は有料プランに加入しないと利用できません。有料プランの料金と利用できる機能は以下の通りです。
| プラン | 料金 | 利用できる機能 |
| Free | 無料 | ・基本機能 ・上限ありでGPT-5 ・記録機能 |
| Plus | 月20ドル | 無料機能に加えて ・エージェントモード ・高性能AIの優先利用 ・メッセージ上限緩和 |
| Pro | 月200ドル | Plusの機能に加えて ・メッセージ上限の更なる緩和 ・高度なデータ分析機能 |
| Business | 月25ドル | Proプランの機能に加えて ・組織内での管理機能 ・蓄積されたノウハウへ接続 ・セキュリティ機能 |
ChatGPT Atlasの危険性について
ChatGPT Atlasの危険性について紹介します。
プロンプトインジェクション攻撃の恐れ
プロンプトインジェクション攻撃とは、生成AIに不正な命令をしてユーザーの意図しない操作を実行するサイバー攻撃手段です。
ChatGPT Atlasの場合、閲覧しているウェブページの情報を取り込むことが可能です。ウェブページ内にある透明なテキストや画像に不正な命令が埋め込まれていた時、AIが読み込んでしまい銀行口座への送金や個人情報の流出など予期せぬ動作を起こす可能性があります。
クリップボード攻撃の恐れ
あまり世に出ていない脆弱性としてクリップボードへのコピー攻撃があります。このクリップボード攻撃は、AIに対して悪意のあるリンクを利用者のクリップボードにコピーするよう指示します。これにより利用者はコピーしたリンクを誤ってウェブブラウザに張り付けて、不審なサイトに誘導される可能性があります。
また、フィッシングサイトのURLをコピーさせてRedditなどの掲示板サイトや知人へのメッセージ、職場のメールなどにURLを張り付けてしまい被害が大きくなる可能性もあるでしょう。
個人情報流出の恐れ
悪意ある人物の指示によって、ブラウザの閲覧履歴やAIが保有している情報が収集され、個人情報が流出する恐れがあります。また、AIはGmailなどのメール機能にもアクセスできるので、アドレス帳の個人情報が流出する可能性もあるでしょう。
エージェント機能を使用する場合は、提供する情報を慎重に選ぶべきです。エージェント機能には、認証情報を必要としないタスクに限定できるログアウトモードがあるので、この機能を利用して認証が必要な場合は手入力するというのも良いでしょう。
ChatGPT Atlasのリーク情報
現時点でリークされているChatGPT Atlasの今後のアップデート予定を紹介します。
マルチプラットフォーム対応
2025年12月現在、対応しているプラットフォームはmacOSのみだが、WindowsやiOS、Androidへの対応に向けて開発中です。幅広いプラットフォームに対応したブラウザがリリースされることで、より多くのユーザーがChatGPT Atlasの便利さを体験できるようになるでしょう。
マルチプロフィール
今後は複数のプロファイルを持てるようにして「仕事用」や「プライベート用」などと使い分けが可能になります。プロフィールを分けることでブラウザの履歴やタブ、ブックマークなどを分けて管理できるようになるでしょう。
また、マルチプラットフォームとマルチプロフィールによって、自宅PCや職場PCなどあらゆる環境で同じChatGPT Atlasが利用できるようになります。これにより日常のネット利用やタスク管理などが使いやすくなるでしょう。
SDKのサポート
外部の開発者がChatGPT Atlas向けのアプリを作るためのSDKを提供する予定と言われています。SDKが提供されることで、多くの開発者が拡張機能を作り、ユーザーに展開されていくことが期待されています。便利な拡張機能によってChatGPT AtlasはよりAIに最適化されたブラウザに進化することでしょう。
また、ブラウザに統合された開発者ツールも改善し、将来的にはWeb開発者がAtlas向けに最適化されたサイトが作りやすくなる予定です。
まとめ
今回は、2025年10月にOpenAIによって発表されたAI搭載ブラウザChatGPT Atlasとは何かについて解説しました。
ブラウザにChatGPTが搭載されていることで、AIが閲覧中のウェブページを読み込むことが可能です。ChatGPTはサイドバーから手軽に呼び出せるので、わざわざ別タブを表示してコピー&ペーストする手間が無くなります。
他にも、過去に開いたタブを呼び出せる記憶機能や、ウェブサイトの動作を自動的に行えるエージェント機能などAI搭載ブラウザならではの機能が搭載されています。
興味のある方はこの機会にChatGPT Atlasを利用してみてはいかがでしょうか。





